KABUKI WORLD現代歌舞伎
「勧進帳」の世界

悠久の時を超え、安宅の関で蘇る、
義経、弁慶、そして富樫、漢達の浪漫

夕陽が沈む⽇本海を背景に、うみのえき安宅特設ステージで繰り広げられる現代劇「勧進帳」。
アクションと最新の演出技術を融合した幻想的で壮大な舞台。
デジタル機器と字幕スーパーにより海外からの観客にもわかりやすく解説されます。

劇団シアタースカイ

プロフィールProfile

2010年3月、「エンターテイメント演劇を、地元小松市に」というコンセプトのもと設立。これまで、小松市のほか、東京や金沢市で本公演を上演。オリジナルの脚本に殺陣を盛り込んだ「エンタメ芝居」が定評を得ている。
「勧進帳」には、スカイメンバーと県内外からの役者が参加。劇団シアタースカイが手掛けたプロデュース作品となっている。

現代歌舞伎「勧進帳の世界」〜ストーリー〜 "Kanjincho" Story

日本海に沈む夕日を背景に繰り広げられる

鬼気迫る達の駆け引き。

 一度は平家に敗れた源頼朝は、1180年(治承4年)に挙兵。異母弟にあたる源義経も共に戦い、1185年、「壇ノ浦の戦い」で平家討伐を果たす。武功を立てた義経は朝廷から官位を受けるが、このことが頼朝の怒りを買い、追われる身となる。義経は奥州藤原氏の加護を頼り、武蔵坊弁慶とともに平泉へと北陸路を急いだ。
 当時、「安宅の関」は義経を捕らえるため頼朝の命で設けられた新関。そこには関守に任命された富樫左衛門がいた。ある日、山伏や強力の姿に変装し、「安宅の関」を越えようとした義経一行。富樫から義経ではないかと怪しまれ、弁慶は「焼失した東大寺再建の寄進を募り、全国で勧進している」と答える。ならば「勧進帳」を見せよと問い詰める富樫を前に、弁慶は臆することなく「白紙の巻物」を取り出し、朗々と読み上げて見せるのだった。危機を脱し、安宅の関を超えられるかと思った矢先、富樫の家臣たちが強力に扮する義経に「顔を見せよ」と詰め寄る。弁慶は、意を決し、強力(義経)を金剛杖で打ち付ける。弁慶は「常日頃から歩みが遅く、足を引っ張った上に、義経に疑われるとは、憎き奴」と涙をこらえながら、忠誠を誓った義経を激しく打ち付け続けた。主君を何としてでも守ろうとする弁慶の姿に心打たれ、富樫は義経一行と確信しながら、関所を通ることを許す。「道中気を付けて参られよ」という富樫の言葉に、富樫の温情を感じながら、義経と弁慶は「安宅の関」をあとにするのである。
 小松市「安宅の関」に伝わる「勧進帳」は弁慶の義経への厚い忠誠心と義経の弁慶への深い信頼、そして富樫の人情が胸を打つ物語である。